悩みを解決できないのはなぜ?変わりたいのに変われない「心理的利得」とは

「今の状態から抜け出したい」

「この生きづらさをどうにかしたい」

そう思っているのに、なぜか同じことを繰り返してしまう。

頭ではどうすればいいのか分かっているのに、いざ行動しようとすると怖くなったり、急にやる気がなくなったりする。

そんな経験はないでしょうか。

 

こんにちは、心理セラピストの白鳥大介です。

今回は、変わりたいと思っているのになかなか変われない理由の一つである、「心理的利得」について解説します。

心理的利得とは、悩みや問題を持ち続けることで、無意識に自分を何かから守っている心の仕組みのことです。

この記事では、

  • 心理的利得とは何か
  • なぜ悩みを解決しようとしても元に戻ってしまうのか
  • 自分の心理的利得に気づくための考え方

について、具体例を使いながら説明します。

変わりたいのに変われないのはなぜ?

悩みが長く続くと、

「どうしたら解決できるんだろう」

「どうしたら楽になれるんだろう」

と、何度も考えますよね。

ところが、考えれば考えるほど分からなくなり、同じ悩みの中をぐるぐる回ってしまうことがあります。

行動したほうがいいと分かっていても、不安や恐怖で動けない。

一度は変わろうとしたのに、いつの間にか元の状態に戻っている。

こうしたことが起きる理由の一つに、変わらないことで自分を何かから守っているという心の仕組みがあります。

これを「心理的利得」と呼んでいます。

心理的利得とは

心理的利得とは、悩みや問題を持っていることで、無意識に得ている心理的なメリットのことです。

ただし、

「悩んでいるほうが得だから、本人がわざと解決しない」

という意味ではありません。

本人の意識では、本当に苦しいし、変わりたいと思っています。

その一方で、心の深いところでは、

「変わったら、もっと怖いことが起きるかもしれない」

「このままでいたほうが、少なくとも最悪の事態は避けられる」

と感じていることがあります。

そのため、変わりたい気持ちと自分を守りたい気持ちがぶつかり、動けなくなってしまうのです。

人に頼れない場合の心理的利得

例えば、こんな悩みがあったとします。

会社で分からないことがあっても上司に聞けません。
大変なときも同僚に頼ったり、助けを求めたりできず、いつも周りの顔色をうかがってしまいます。

 

本人としては、人に頼れるようになったほうが仕事も楽になるし、一人で抱え込まずに済むことは分かっています。

それでも頼れない。

この場合、人に頼らないことで、

  • できない自分を見せずに済む
  • 「そんなことも分からないのか」と否定されずに済む
  • 面倒な人だと思われずに済む
  • 相手に嫌な顔をされずに済む
  • 断られて傷つかずに済む

という面があります。

さらに深いところでは、

「ダメな人間だと思われたら、ここにいられなくなる」

「嫌われたら、独りになってしまう」

という恐怖から自分を守っていることもあります。

つまり、人に頼れないこと自体は苦しいけれど、頼らないことで傷つく危険を避けているのです。

これが心理的利得です。

心にとっては、

「人に頼って傷つくくらいなら、一人で抱え込んだほうがまだ安全」

という判断になっているわけです。

さまざまな悩みに隠れている心理的利得

心理的利得は、人に頼れない問題だけにあるわけではありません。

例えば、次のような形で表れることがあります。

親元を離れられない

親元を離れなければ、生活の責任をすべて自分で負わずに済みます。

ただし、単に家賃や生活費の問題だけではありません。

自立して失敗する怖さや、自分で人生を決める不安、親を置いていく罪悪感を感じずに済んでいる場合もあります。

人の評価ばかり気にして頑張り続ける

人から評価されることで、

「自分には価値がない」

という感覚を一時的に感じずに済むことがあります。

頑張るのをやめたら誰からも必要とされなくなる気がして、疲れていても休めません。

人を信用できない

最初から人を信用しなければ、裏切られたときのショックを小さくできます。

誰とも深く関わらなければ、見捨てられたり、自分の弱いところを利用されたりする危険も避けられます。

ただ、その代わりに、人との親密なつながりも作りにくくなります。

やりたいことに踏み出せない

挑戦しなければ、失敗して恥をかくことはありません。

「自分にはできなかった」という現実を突きつけられることも避けられます。

可能性を残したままにしておけば、

「本気を出せばできたかもしれない」

と思っていられる面もあります。

このように、困っている行動だけを見ると不合理に見えても、心の中では何かを避けるための理由があります。

心理的利得は自分を責めるための言葉ではない

心理的利得について知ると、

「自分は悩んでいたいのか」

「結局、変わろうとしていないだけなのか」

と、自分を責めてしまう人もいます。

でも、心理的利得は自分を責めるために使うものではありません。

人に頼らない。

本音を言わない。

挑戦しない。

人と距離を取る。

こうした反応も、もともとは過去の自分を守るために身につけたものかもしれません。

実際に、頼ったときに嫌な顔をされた。

本音を言ったら責められた。

失敗したら笑われた。

信用した人に裏切られた。

そんな経験があれば、「もう同じ思いをしたくない」と心が警戒するのは不自然なことではありません。

問題は、その守り方が今の生活にも必要なのかどうかです。

昔は役に立った方法が、今は人間関係や仕事の苦しさにつながっていることがあります。

なぜ一度よくなっても元に戻ってしまうのか(悩みのリバウンド)

悩みを解決する方法を学び、行動を変えようとしても、しばらくすると元に戻ってしまうことがあります。

例えば、

「分からないことは人に聞こう」

「嫌なことは断ろう」

「失敗を恐れずに挑戦しよう」

と決めても、実際の場面になると怖くなってできない。

これは、方法を知らないからとは限りません。

行動を変えることで、それまで避けていた恐怖に近づいてしまうからです。

人に頼る方法を覚えても、

「迷惑だと思われるかもしれない」

「断られたら傷つく」

という恐怖が残っていれば、なかなか頼れるようにはなりません。

断り方を勉強しても、

「断ったら嫌われる」

「相手を怒らせたら、自分の居場所がなくなる」

と感じていれば、いざというときに言葉が出なくなります。

行動だけを変えようとしてもうまくいかない人は、その行動によって何を避けているのか、どんなメリットがあるのかを見る必要があります。

心理的利得に気づくための質問

自分の心理的利得を考えるときは、次のような質問が役に立ちます。

  • この問題がなくなったら、何が起きそうで怖いだろう
  • 今の状態を続けることで、避けられていることは何だろう
  • 行動した結果、誰にどう思われるのが怖いのだろう
  • 変わることで失うものがあるとしたら、何だろう
  • 以前、同じようなことをして傷ついた経験はなかっただろうか

例えば「人に頼れない」という悩みなら、

「人に頼れるようになったら、何が怖いんだろう」

と考えてみます。

すると、

「嫌な顔をされるのが怖い」

「使えない人だと思われるのが怖い」

「断られたら、すごく惨めな気持ちになる」

などが出てくるかもしれません。

その怖さが分かると、単に「もっと人を頼ればいい」と自分を追い込むのではなく、まず何を扱えばいいのかが見えやすくなります。

心理的利得に気づいたあと、どうすればいいのか

心理的利得に気づくことは、悩みを解決するための一つの入口です。

ただし、心理的利得を見つけたからといって、すぐに行動できるとは限りません。

「嫌われるのが怖いと分かった。では、明日から本音を言おう」

と簡単にはいかないこともあります。

大切なのは、

  • 自分は何を怖がっているのか
  • その恐怖はどんな経験からできたのか
  • 今も同じ守り方が必要なのか
  • 怖さがあっても安全に行動するには、何が必要なのか

を少しずつ整理することです。

また、無意識のことなので、自分一人で考えても気づきにくいこともあります。

そんなときは、カウンセリングや心理セラピーなどを利用して、第三者と一緒に整理する方法もあります。

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心理的利得の奥には、

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

ABOUTこの記事をかいた人

対人恐怖、自己否定など心の問題や悩みの根本解決をサポートする心理カウンセラー・心理セラピスト 札幌を拠点に全国で活動中。 生き辛さやしんどさの根本原因を見つけて、心の安心と本来の自信に満ち溢れた自由で幸せな人生を取り戻すサポートをしている。